スリッパの歴史
現在、日本で使用されているスリッパは欧州で使用されているスリッパー(クツ、サンダル、スタイル)とは異なった日本独特の文化体系をもっています。
そもそも日本人は畳を中心とした住居生活を営み、靴を脱いで部屋に上がる習慣があり、現在でもその習慣は残っており存続しています。
日本型のスリッパが生まれたのは江戸時代の終わりから明治時代のはじめにかけて鎖国時代の終息と同時に多くの外国人が渡来して来た頃です。そのころの日本は当然、西洋にあるようなホテルはなく旅篭や寺社等に泊まり、その際に靴のまま座敷にあがろうとすることで、トラブルが絶えなかったようです。
そこで、考え出されたのが外国人向けスリッパだったのです。東京八重洲にすむ仕立て職人の徳野利三郎が靴のまま履けるスリッパを考案したのが今日の日本のスリッパの原型で、左右なし、小判型で底は平面のものでした。
明治、大正、昭和、平成と時代は進み使用する材料は変化してきましたが、基本形は左右無し平面底とあまり変わっていません。この形が日本人に一番適しており、フローリングが全盛をしめている現在の住宅事情にも適合していると言えるのです。